箱舟2
綾波レイは確かに立っていた。見慣れた制服を着て、青い髪とスカートが潮風に引っ張られてなびいていた。潮風が目にしみているかのような目つきで、離れたところから僕を見ている。
少しでも目を放せば、まばたきだけでも、消えてしまうことは分かっていた。僕は綾波の幻と見つめ合い、相手の顔に哀れみと熱っぽさが混ざったような色が浮かんでいるのを見て取った。
赤い海が打ち寄せて裸足の足元に届く寸前で力尽きた。真っ白な砂浜に足跡はついていなかった。 幻が何か語りかけてくれるのを待ったが、その瞬間はやってこなかった。髪とスカートの裾だけがはたはたと動き続けた。目が乾いて失明するまで見ていられそうだった。
一生のうちで最もいまいましいまばたきを終えると、綾波の姿は消えていた。
砂浜から起き上がり、傍らに横たわっているアスカを見た。
アスカは眠っていた。僕はゆっくりと体をまたいで馬乗りになった。彼女の首が想像よりも細く、華奢だったことを感じながら、少しずつ力をこめていった。 気道も動脈も圧迫されるとは言えない時点で、アスカが目を覚ました。 彼女はお馴染みの青い瞳と冷めた目で僕を見上げ、かすかに唇を開く。
僕は一気に腕に全身の力を込め、体重を乗せた。
変化はすぐに現れた。 顔がうっ血して急激に赤くなった。白目に血管が成長して青い瞳を縁取っていく。目のくまが膨らんでぴくぴくと動いた。 喉からげっぷのような音がした。手が伸びてきて、僕の頬に触れる。優しい触れ方で、抵抗するような気配は一切なかった。
僕が手を放しても顔は赤いままだった。手形のついた喉が空気を求めて不器用に動いて、内臓を吐き出しそうな激しい咳が始まった。 咳がいくぶん収まると、代わりにえずきが始まった。アスカはカラスのような声を吐き出した。
「気持ち悪い…うぅ」
まだ充血している目から苦痛の涙がにじんで、目じりから流れ落ちた。赤かった顔がカメレオンのように蒼白になった。呼吸が咳から不規則な動きに変わる。
「助けて…」 アスカは意識を失いかけて、僕の肩をつかんだ。僕を見ていたが、視点ははるか後方に合わさっていた。肺は動いていたが、空気は通っていない。リツコさんがこの症状を“悪魔の絞首”と呼んでいたことを思い出した。
(世の中に窒息ほどむごい死に方はないのよ)
ショックによる劇症貧血だった。
呼吸が痙攣に近い動きになり、青い瞳が曇っていく。肩をつかんでいた手が砂の上に落ちた。 僕は絶叫してアスカの唇を自分の口で覆い隠して息を吹き込んだ。空気は全て鼻から抜けた。鼻をつまみ、もう一度吹き込むと、全て肺に入った。 プラグスーツの上からみぞおちを探している間に、アスカが吐いた。ずっと何も食べていなかったので、黄色っぽい液体が出た。 曇っていた瞳が呼吸ととともに澄んでいった。
「アスカ」
僕の問いかけに彼女はゆっくりとしたまばたきで答えた。頬に落ちた僕の涙を拭おうとして、右手に巻かれた包帯に気がつく。
「あんたが…巻いてくれたの?」
そして馬乗りになっている僕に言った。 「そこをどきなさいよ」
僕が移動するとアスカは包帯から突き出た二本の指、薬指と小指で青く変色した喉を触った。
「また絞められた…みんな、私を殺そうとする。どうしてなの?」
僕は無言になる以上の答えを用意できなかった。波を吸った砂がきしる音が沈黙を埋めた。
「もういい」
アスカは想念に捕らわれた表情で空を見上げた。一瞬の間を置いて、瞳から涙が溢れ出す。 僕たちは日が暮れて、赤黒い月がいつまでも消えない海上の虹にかかるまで、それぞれ勝手に泣いていた。 先に涙が枯れたのは僕だった。
「傷は痛む?」
その言葉にアスカはひどく緩慢に顔をこちらに向けた。
「物凄く痛い。燃えているみたいに熱い」 目はまだ充血している。 「どれだけ眠っていた?」 「3日ぐらい」 「ここはどこ」 「わからないよ」 そう、と言って顔を空へ戻す。「あの世だったらいいわね」 「たぶん僕たちは死んでないよ」 「知ってる。死んでるのに殺されかけるなんて、やりきれないじゃない。喉がかわいた。水はないの?」 「ないよ。何もない」 「探してきて」 「もう探したよ」 「じゃあ、もう一度、もっとよく探してきて」 「ないよ。町も水道も、何もないんだ」 「お願いだから、一人にして」
僕は砂浜を離れて斜面を登った。砂は次第に小石まじりの砂礫になり、すぐにまばらに木々の生えた広大な荒野になった。その遥か遠方に尖った山脈の稜線が見える。どれほど遠いのか、見当もつかなかった。
エントリープラグがまるで墜落した宇宙船のように地面に斜めに刺さっていた。ハッチは僕がアスカを救出したままに開いている。LCIはすでに腐って澱り、卵から孵ったぼうふらが水面を漂っている。
僕は中に顔を入れて上を見上げた。操縦席は逆さまになって上の天井に張り付いている。 その下には非常用の食料や道具が入っているはずだったが、シートは手が届くはるか先にあった。傾斜がきつくて壁を這い登ることもできそうにない。 アスカに手伝ってもらえば何とかなるかもしれない。
浜辺を見下ろせる位置に立った僕は、女の裸を見た。 白い砂浜の波打ち際でアスカが水平線を見つめていた。足元には脱皮した後の皮のようにプラグスーツが投げ出されていた。 赤い髪がかかる背中と、形の良い白い尻が目に痛いほど鮮明に見える。 やがて、アスカは僕が巻いた包帯を砂の上に落とした。包帯は潮風で転がり、アスカの足に引っかかって止まった。
その足が静かに一歩を踏み出した。
そしてゆっくりと赤い海へと入っていく。僕は斜面を駆け下り始める。
僕が砂浜に下りたときには、アスカは腰まで海に浸かっていた。プラグスーツをまたぎ越える。包帯はすでにはるか遠くまで吹き流されてしまっていた。
僕が海に入った音でアスカが肩越しに振り返った。
「こないでよ!」
それを無視してアスカの背中を抱きとめた。彼女は一瞬だけ抵抗して、すぐに静かになった。
「アスカ、駄目だ」
僕たちはそのまましばらくじっとしていた。アスカの体温と震えが僕の体に伝わってくる。
「帰ろう」
「何なのよ」 「何が」 「何で助けるのよ!一度は殺そうとしたくせに!私の事なんかに構わないでよ!」
アスカが僕を突き飛ばした。世界が泡だらけになり、空気を求めてもがいた。すぐにアスカが上にのしかかってきた。
上下を入れ替えながら揉みあっていると、肘がアスカの横顔にぶつかった。僕は水面に顔を出して冷たくなった空気を吸い込み、ぐったりした体を抱えあげた。 アスカは鼻と口を使って呼吸をしている。その頬に濡れた髪がくっついていた。 波打ち際まで引きずってそのまま倒れこむ。
白い肌には水滴が散っていた。アスカは冷たい目で、こちらの出かたをうかがっている。
実際には乱れた髪を伝った雫が乳房からみぞおちへと流れていくのを見ていたが、アスカにとっては同じことだった。 青い目がますます冷たくなった。
「嫌いなのよ」 とアスカは言った。
「あばずれ女、インテリ女、にやにや笑う美男子に、潔癖症。ジジイのイエスマンと人形。それに、スケベなパイロット」
腕の傷のかさぶたがふやけたところに血が膨らんで、今にも流れ落ちそうになっている。
僕は手を伸ばして、乳房をつかんだ。 血の玉が細く赤い糸を引いて、砂浜に落ちた。 アスカは乱れた髪の間から、言った。

「夢がかなってよかったじゃない」
「こんなの夢なんかじゃない」 僕は答えた。
「なら、放っておいてよ。だまって見ていたらいいのに」
柔らかいハンマーで脳を叩かれているような気持ちで手を放した。乳房は何事もなかったかのようにもとの形に戻った。
「夢なんてきかないわよ」
アスカが体を起こした。 「あんたの夢なんて、興味ないし、聞くもんか」
包帯はかなりはなれたところで枯れた浜草に引っかかっていた。 それを持って戻ってくると、アスカは膝を抱いて座っていた。腰にプラグスーツをかけている。
「近づかないで」
「腕の手当てをしないと」 「もう治ってる」 「血が出てるよ」
包帯を巻かれるのは拒否せず、こちらを見ることは拒否した。
二の腕から手首へと包帯を巻き終えた時点で、やっとこちらを見た。 「わたしは、かわいい女じゃない」 僕は黙っていた。 「ヒカリみたいに家庭的でもない」 手を握ると、痛みで言葉を切った。そしてまた続ける。
「男が考えていることはだいたい分かってる。どうやってわたしと仲良くしようか、それで、どうやっていい思いをしようか。ってそれだけ」
包帯を巻き終えた。アスカは腕を引っ込めて具合をたしかめる。 「あんたもそうよね」 僕は背を向けて、離れたところに座った。
木の枝にベルトをくくりつけている間、アスカは一言も口をきかなかった。プラグスーツを着ていたが、一度脱いでしまったスーツは以前のようにぴったりとはいかなかった。
僕は完成した道具を手に、エントリープラグへと向かった。
プラグの先端に鳥が止まっていた。真新しい糞が識別コードの「02」の上に白い直線を引いている。 これから長い時間をかけて糞で塗装しなおされていくんだ。その仕事は今始まったばかりだ。と何となく思った。
海鳥は羽づくろいを中断し、顔を背けて僕を見下ろした。そして飛び立ち、海の上のぼんやりとした灰色の空へと消えた。
LCIは蚊がよってたかって卵を産みつけ、ぼうふらの数はさらに増えていた。今では水面がうごめいているように見えた。
それまでの失敗が嘘のようにあっさりと、ベルトがレバーにかかった。
力を込めて引くと、レバーが下がり、中身の重量で勝手に開いた。銀色の袋は壁に一度ぶつかってLCIに落ちた。
とたんに沈み始め、きわどいところで指に触れた紐をつかんで引き出す。
味の無い缶入りのパンをむさぼるように食べて、水を飲むと生きた心地がした。アスカも石をかじるようにして食べた。
「ここを離れないと」
「どこに行くって言うの?」 アスカが力なく言った。
「食べる物があるところに」 アスカは自分の庭を披露するように手を広げた。 「あるのは得体の知れない海と、なんにも無い地面だけ。魚もいない。動物もいない。木もろくにない。素敵よね。こんなところであんたと二人っきりで旅行なんて」
「鳥がいたよ」 僕は缶詰のへりに指を這わせながら言った。缶には“栄養満点”と書いてあった。
「僕たちだけじゃないよ。LCIにはぼうふらがたくさんいた」 「ぼうふらとお友達にはなれないわ」 「それでも」僕はなるだけゆっくり言った。「行かないと」
非常用袋の中身は数日分の食料と4リットルの水。このうちの4分の1はすでに使ってしまった。それから様々な薬、自家発電装置のついた無線機、携帯式コンロ。そして“緊急時の心得”という薄っぺらい本などだった。
エントリープラグの中にあったために、この世界に運ばれることになった旧世界の遺物を砂浜に並べた。アスカは銀膜を張った保温シートに包まって顔だけ出している。
「“どこでもドア”は入ってなかったのね」 拗ねたように言い、僕はそれを無視して、明日のことを考えた。
夜が来た。この世界に季節があるなら、きっと今は秋だろう。 これまでも寒かったが、それはカッターナイフ程度の物だった。この夜の寒さは日本刀かチェーンソー並だった。 体を抱いて打ち震えていると、アスカが保温シートから顔を出した。
「寒い?」
「寒いよ」 アスカは長いこと思案した末に言った。 「こっちきなさいよ」 シートの中はアスカの体温で、まるで温泉のようだった。僕はゆっくりとアスカの背に手を回した。ただ暖かいものに身を添わせておきたかった。
アスカは目を閉じて寝たふりをしていた。僕が気がついていることに、彼女も気がついていた。
僕はゆっくりと、不思議な匂いに包まれながら、顔を近づけた。彼女の長いまつ毛が震えていた。唇を離すと、アスカは言った。 「人をもてあそんで、さぞ楽しいんでしょうね」 「僕はたまに、自分が何をして――」
「いいわ」僕の言葉を遮った。 「わたしもそうしたいと思っていたから」
長い時間が過ぎた。赤黒い月が虹のレールの上を滑っていく。やがてアスカが体を動かして血の巡りを直し、そっと言った。
「わたしは子供じゃない。前に加持さんにそう言ったら笑われたわ“アスカはまだ子供だ”って。あの人は見る目がなかったのよ」
「そうなのかな」
「そうよ」 アスカの息が頬にかかった。「あんたは自分が子供だと思ってるの?」
「どうだろう。あまり考えたことがない。そんな気もするし、そうでない気もする。自分が変わってしまのが怖いのかも」 「自分を変えるのが。でしょ」
僕の見たことのない顔で、アスカは僕を見つめ、そして顎を突き出すようにして、顔を近づけた。まず鼻が触れ、唇が触れた。歯が触れ、その奥では舌が踊っていた。
僕たちはそれ以上のことは何も出来ないまま、眠りに落ちた。
実際には、眠ったのは僕だけだった。
僕は夢を見ていた。目覚めつつある時によく見る夢で、起きて着替えを済ませ、通学路を歩き、校門をくぐったと思ったら、まだベッドの中。という、ひどく損をした気分になる類の夢だ。
その世界で僕は冷蔵庫の中に頭を突っ込んで、中身を確かめた。マンションの冷蔵庫にはまあまあの食材が残っていた。卵を使えば3人分でもあっという間だ。この数日、ろくに食べていないから多めに作る必要があるだろう。
僕はテーブルに皿を並べていった。ミサトさんが起きてきて、あくびをしながらダイニングを横切った。戸が開かれ、続いて水の流れる音がした。
マンションを出て、真夏の日差しの中で学校へ向かう僕の耳に、打ち寄せる波の音が聞こえた。
波が砂浜に染みて砂をきしらせる音。
冷たい波が足を駆け上って股間までを濡らし、僕はその冷たさに飛び起きた。
白い砂浜に赤い海、黒っぽい月をまたぐようにしてかかる虹。うんざりする景色が僕の目に映った。 波が来て保温シートをつかみ、一気に沖へと引き寄せる。 慌ててそれを回収しに向かった。目的を達成したところで、アスカのことを思い出して浜を振り返った。
波打ち際にアスカが倒れている。波がその足にかかったが、僕のように目を覚まさなかった。
水を蹴って駆け寄る。
アスカは左手を枕にして寝ていた。すぐ側に口の開いた非常袋があった。プラグスーツは畳まれて置いてある。アスカは生まれたままの姿で死にたいのかもしれない。頭の隅でそんなことを考えた。
まったく力がこもっていない体を抱き上げる。薬は全て消えうせていた。錠剤の包みと、空になったアンプル、それに注射器が散らばっていた。
ああ、と僕は呻き、アスカをゆさぶった。アスカの唇はこわばり、真っ青だった。
「そんなのないよ」
僕は震えながら、その唇についた砂を拭ってやった。
波が打ち寄せて、砂がきしり、視界がぼやけた。結び目の解けた包帯が風になぶられている。 砂についた手を持ち上げて脈を取ると、まだ動いていた。
「起きてよ」
強く頬を叩くと音を伴う息がかすかに漏れた。
アスカは錠剤を飲み下すのに水を1リットル以上も使っていた。僕は残っていたボトルのキャップを開いて、こじ開けた口に残りの全てを注ぎ込んだ。 喉がごぼごぼと鳴り、白い錠剤の混ざった水を吐き出した。それすら波が直ちにさらっていく。 嘔吐が収まりそうになると、口に指を突っ込んで何度も吐かせ、ついに何も吐くものがなくなった。口の中に残っていた錠剤をかき出した。 そして脇の下から手を回して波の届かない位置まで移動させる。

あとは待つしかなかった。
苦悶のうちに時間が過ぎ、赤い海に夕闇がおりる頃、僕は疲労で燃えているような膝を抱いて、水面に漂う泡の線が揺れるのを見ていた。
海鳥が水平線から姿を現して、内陸の方へと飛んでいく。同じ海鳥が二匹、その後に続いた。仲間を見つけてきたのかもしれない。
蜃気楼のように、景色が揺れているような感覚があった。慣れ親しんだ街の喧騒の気配がする。
陸に目を移すと、揺らぐ空気の向こうに、ほとんど透明の、ほんのかすかな四角い輪郭が見える。 ビルだ。と僕は思った。失われた世界がそこにあった。二つの世界はまだ完全に切り離されたわけではない。
僕はアスカを見た。自殺願望を持ってしまったイヴは、今は死か生かに向かう眠りの中にいる。
アスカが目を覚ましたのは二日後だった。彼女は朦朧とした意識の中で、僕の事を加持さんと呼んだり、ミサトと呼んだりした。
「アスカ、しっかり」
「水…」 ボトルの底に残っていた水を口に流してやると、口の中で舌が動くのが見えた。 「もっと…」 僕はフルーツの缶詰を開けて、シロップを少し注いだ。アスカはそれで満足し、曇った目で僕を見た。
「どこに…行くの?」
何のことだか分からなかった。 「もう少し、ここにいるよ」
そう。と答えてゆっくりと目をつぶる。 「ならよかった」
海水を沸騰させ、蒸気を集めてわずかな飲める水を作った。それでシロップを薄めて少しずつ口に垂らしてやった。まだ僕とマヤさんの区別もついていなかったが、死ぬ心配はなさそうだった。
うつろう幻影の中に僕が現れ、たまたま本人が目の前にいたのかもしれない。アスカは手を伸ばして僕の顔を挟み、花束でも抱えるように胸に抱いた。
「いい加減に気がついてよ。あたしにだって夢はあるのよ。ね?」
頬と棟の間にはプラグスーツがあったが、それでも十分だった。僕はとっくに知っていたし、アスカはもっと前から知っていた。
綾波もミサトさんもいなくなってしまった。
一人の女性のために生きるべきなんだろう。
「わかったんだ。僕は何も分かっていなかったし、分かることを嫌がっていたって、進むのも嫌で、引き返すことも出来ない状態で、その、なんていうか、怖じけていたから。どうにもならないことがあって、それを、それを認めないと、何も変えられない。わかるかな?その、なんていうんだろう。伝わるかな・・・つまり、アスカに・・・」
こんな調子で僕が話すのを、アスカはじっと聞いていた。
話し疲れて言葉を止めると、真剣なまなざしが僕に注がれていた。
「わかったわ」 アスカは優しく言った「話しが長いってことだけは分かった」
アスカは4歩だけ歩いて立ち止まり、振り返らずに言った。
「ムカつくけど、あんたに尽くすわ。あんたが私を見ている限りは」 そう言い残して、砂浜を飛ぶように走り始めた。行く手には決してたどり着けない旧世界の蜃気楼が揺らいでいる。
完
挿絵協力:めばえ[ブログ:めばえあにめ]
【後記】
私の最初のエヴァ小説「箱舟」を再執筆してみました。
挿絵は「めばえ」さんからご提供いただきました。
めばえさん素晴らしい絵を本当にありがとうございます。
|